歯科矯正用アンカースクリューについて ③

こんにちは、広島県福山市の歯列矯正専門クリニック、イロドリ矯正歯科です。

今回は、矯正歯科治療で使用する補助的な装置である、歯科矯正用館カースクリューについて、第3回目です。バックナンバーについては、以下のリンクよりご覧ください。

小臼歯抜歯症例の空隙閉鎖にスライディングメカニクスを用いる場合、アーチワイヤーにフックを付与して、クロージングコイルスプリングやパワーチェーンでスクリューからフックを牽引します。
スライディングメカニクスを用いて抜歯空隙を閉鎖していくときには、前歯部のトルク(歯の角度)のコントロールが重要になります
トルクコントロールとフックの位置の関係について、フックの位置は前方であるほど、長さは長いほど前歯のトルクコントロールに有利です。例えば、アーチワイヤーにロングフックを装着し、これに牽引力を加えることで、前歯にリンガルルートトルクを加えることができます。逆に、前歯の舌側傾斜が許容される症例(前歯歯軸傾斜角が標準より大きい症例など)では、ショートフックを用いて前歯を牽引します。
通常、フックは犬歯の遠心に付与します。小臼歯抜歯症例であれば牽引力は100gです。大きな牽引力を付与しても歯の移動が促進されることにはならず、ボーイングエフェクト(bowingeffect)の原因になります。また、牽引時、クロージングコイルスプリングやパワーチェーンが歯肉に接触しないようにしなければなりません。そのためにはフックを付与する位置や長さ、スクリュー植立時のヘッドの位置にも配慮が必要です。

次に、ワイヤーの太さについて、トルクコントロールを適正に行うためには、ブラケットスロットに対し遊びの少ない、フルサイズに近い角ワイヤー(ステンレススチールワイヤー)を用いる必要があります。
しかし、フルサイズに近い角ワイヤーでは、臼歯部におけるブラケットとワイヤー間の摩擦が大きくなり、歯の移動効率が低下することが懸念されます。そこで、臼歯部のアーチワイヤーをラウンドワイヤー程度に削合したり、前歯部が角、臼歯部が丸の断面のコンビネーションワイヤーを用いたりするなどの工夫を施します。
スライディングメカニクスのためのアーチワイヤーには、基本的にゲーブルベンドやスピーの湾曲を加えずフラットなものを用います。ただし、咬合挙上したい症例や前歯のトルクコントロールが必要な症例では、上顎にアクセントカーブ、下顎にリバースカーブを加えます。

従来の治療メカニクスでは、最大固定に際して第二大臼歯を固定源に含めることは必須でした。しかし、フルサイズに近い角ワイヤーを臼歯部を削合することなく、第二大臼歯を含めてスライディングメカニクスを用いて抜歯空隙の閉鎖を図った場合、ワイヤーとブラケット間の摩擦により大臼歯の遠心移動が起こることがあります。この摩擦力を減少させるため、空隙閉鎖時は第一大臼歯までしかワイヤーを通さず、抜歯空隙が閉鎖した後に第二大臼歯のコントロールを始めることがあります。ただし、第二小臼歯抜歯症例では垂直的なボーイングェフェクトが起こるのを防ぐため、第二大臼歯までワイヤーを通してコントロールすることが必要です。

スライディングメカニクスと比較して、抜歯空隙に付与したループを活性化させて空隙閉鎖を行うループメカニクスを用いた牽引は、前歯のトルクコントロールにおいて優れていると考えられます。ループメカニクスでスクリューを利用する場合、犬歯牽引を単独で行い、その後4前歯をループで牽引するときに、その活性化をアンカースクリューにて行うことで、より確実な上顎前歯のトルクコントロールが可能となります。これは特にAngle II級2類症例の上顎前歯牽引において有効です。また、空隙閉鎖の70〜80%を単純なスライディングメカニクスで行い、その後ループメカニクスに変更し、トルクコントロールをしながら前歯牽引を終了することも効果的です。

抜歯空隙の閉鎖にスライディングメカニクスとループメカニクスのどちらを選択するかは、個々の患者さんの状況にあわせて決定されます。

歯並びのことで気になることがある方は、ぜひ一度ご相談にお越しください。
お待ちしております。

歯列・歯並び(出っ歯;上顎前突、受け口;下顎前突、ガタガタ;叢生、すきっ歯;空隙
歯列、歯が生えてこない;萌出不全、歯が足らない;先天性欠如歯,先天性欠損歯、
歯が変なところから生えてきた;異所萌出、歯が多い;過剰歯、後戻り、再治療、
顎変形症、口蓋裂など)でお悩みの方がいらっしゃいましたら、
まずは相談だけでもお気軽にお越しください。
人気のマウスピース矯正(インビザライン)や、
オススメの目立たない矯正装置もご用意しています。
スタッフ一同お待ちしています。
https://g.page/irodori-oc/review

福山駅前の矯正歯科専門クリニック
イロドリ矯正歯科
https://irodori-oc.com

小児矯正、成人矯正、目立たない矯正、裏側矯正、
マウスピース矯正(インビザライン)、部分矯正

〒720-0066
広島県福山市三之丸町3-3

TEL 084-999-9020
FAX 084-999-9022