こんにちは。福山駅前の歯列矯正専門クリニック、イロドリ矯正歯科です。
今回は、当院における成人の歯科治療についてお話します。
矯正歯科治療における成人とは、成長期の終了した症例を指します。矯正歯科治療は小児だけでなく成長が完了した成人も行うことかできます。矯正歯科治療は第一治療と呼ばれる成長期における治療と第二期治療と呼ばれる乳歯が抜けて、全て永久歯となってからの治療の2段階に分類されます。成人の矯正歯科治療とは、第二期治療のことを指します。
成人矯正の大きな目的は、きれいな歯並びと正しいかみ合わせをつくりだし、歯の機能を向上させるとともに、フェイスラインを整えることで、健康的て美しい口元になるなどの機能的な効果と審美的な効果を指します。そのため近年若い女性を中心に高齢者に至るまで成人矯正を行う人が増加しています。それだけでなく、歯周病やかみ合わせの治療のために矯正歯科治療を開始することも少なくありません。実際に矯正歯科治療によって、結果的に歯の寿命が伸びる報告も多くあります。
成人の矯正治療は、小児の矯正歯科治療と異なる点がいくつかあります。
1番の異なる点は、成人の矯正歯科治療はほとんどの方に歯周病のリスクがあるということです。日本の罹患率は、年齢別でみると、歯茎の炎症のピークは55〜64歳で84.6%に及び、若年層でも5〜14歳の33.4%、15〜24歳の70.3%の歯茎に炎症がみられます。
歯周病は決して中高年層だけの病気ではなく、若いうちから予防が大切であり、矯正歯科治療を開始する場合には口腔内環境の管理に対する注意が必要になります。歯周病治療をせずに矯正歯科治療を行ってしまうと「歯肉退縮」といったことが起こります。「歯が抜け落ちる」ということは、滅多にありませんが、歯周病の状態がかなり悪い場合には、可能性があることは事実です。
また、矯正歯科治療は、以前、歯周病の症状を悪化させる恐れがあるとして危険視されていましたが、近年の研究と臨床例の蓄積により、矯正歯科治療前に歯周組織の細菌性の炎症を抑制してから、歯を周囲の骨の適正な位置に移動することが大切であるとわかってきました。そのため、当院においても歯周病の心配がある患者様には、成人の矯正歯科治療を開始する場合に、かかりつけ医にて必ず歯周病の基本的な検査や治療をおこなった上で治療を開始するようお伝えしており、実際にご紹介をさせていただきます。
このような原則を守ることで通常の歯科治療と同様に矯正歯科治療を進めることができ、歯周組織は治療前より改善することもあります。
また、歯並びが悪いと歯磨きが行き届かず歯周病になりやすいので歯周病の治療として行うこともあります。
成人の矯正歯科治療の開始にあたり、まずは口腔内環境が健康であるということが第一条件になります。歯肉と歯を支える骨が丈夫であれば、始めるのに年齢は関係ありません。加齢とともに歯並びに影響が出始める40〜60代の人でも口腔内の機能維持のためために矯正歯科治療を行うことは可能です。
矯正歯科治療の開始時期を一概に示すのは難しいことです。重要なのは、患者さんが治療の内容をよく理解し、よく相談したうえで治療開始時期を決めることが重要です。
当院には、小さなお子さんから成人まで幅広い年齢の患者様が通院しておられます。歯並びについて気になることがございましたら、お気軽にご相談に起こし下さい。