口唇口蓋裂の手術について

こんにちは。福山市福山駅前の歯列矯正専門クリニック、イロドリ矯正歯科です。

本日は、口唇・口蓋裂の手術法についてお話ししようと思います。


①口唇裂に対する手術法

・四角弁法(Le Mesurier法、永井法)
……Le Mesurier法は外側唇に形成した四角弁を人中唇の切開部に挿入させる方法で、赤唇の縫合線が上口唇中央部にくるため、比較的均整のとれたキューピッド弓が形成されます。しかし、縫合創が人中の中央を横切る大きな瘢痕ができること、術後の外側唇の過成長によってキューピッド弓が下垂し、二次修正が困難なことから、現在ではほとんど用いられていません。

・三角弁法(Tennison 法)、三角弁変法(Randall法、Cronin法、小三角弁法)
……Tennison法は、スチールワイヤーで披裂縁鼻柱基部からキューピッド弓健側頂点までの長さを測り、それを3等分に屈曲してZ型とし、外側唇に圧迫印記して、これを切開線とし、人中唇側では、乙型ワイヤーの2辺のみを印記して切開線とします。欠点として、三角弁が大きく、上口唇中央部に瘢痕が生じるとともに外側唇が過長になりやすいこと、鼻孔底線の形成が十分でないことがあげられます。そのため、三角弁変法として、口唇高径の左右対称性に重点を置き、三角弁も小さめに設定したRandall法、三角弁を赤唇縁より1mm上にとり、赤唇縁の連続性を確実にするCronin法が編み出されました。
Randall法およびCronin法はキューピッド弓の形成が良好で、安定した成績が得られることから、現在でもよく用いられていますが、中稜を横切る瘢痕が目立つ、本来の人中稜より外側に縦切開がくる、三角弁が大きいと術後の成長により患側白唇が過長になりやすいなどの問題があるため、近年は赤唇縁直上に1辺1.5mm程度の小三角弁を形成し、さらに人中稜に沿った切開を入れる小三角弁法を用いられることが多いです。

Millard法、Millard変法
……鼻中基部を横断してキューピッド弓に達する孤状切開を加え、人中唇白唇を回転し、そこに生じた欠損部に外側唇からの組織を伸展し、さらに人中上方にできた三角弁(C-皮弁)で鼻孔底線の形成と鼻柱偏位を矯正する方法です。
Millard 法の欠点として、キューピッド弓が下がり切らないことがあげられます。そのためMillard変法では、赤唇直上に小三角弁を形成することによりキューピッド弓の吊り上がり防止がなされています。


②口蓋裂に対する手術法

push back法(Wardil-Kilner法)
……口蓋部に大きな粘膜骨膜弁を作成して後方移動をはかる方法です。現在でも多くの施設で用いられており、言語成績は安定しています。軟口蓋の延長に硬口蓋の組織を用いるため、硬口蓋前方部および側方部に広範な骨の露出が生じ、創面の瘢痕拘縮によって歯列の狭窄とともに、上顎骨の前方下方発育が阻害される欠点があります。

口蓋粘膜弁法
……硬口蓋への手術侵襲を減じることを目的に考案された方法です。硬口蓋に骨膜と大口蓋神経血管束を背面に残した状態で、硬口蓋後方1/4の部位に小さな口蓋粘膜弁を形成して口腔側の延長を施し、鼻側粘膜は軟口蓋部にてZ形成を行って後方移動を可能にします。二期的に行う場合は1歳半頃に軟口蓋を閉鎖し、5〜8歳時に硬口蓋を閉じます。顎発育面では良好な結果が得られていますが、言語面は十分ではないことが欠点です。口蓋粘膜弁を用いて軟口蓋の延長をはかり、同時に鋤骨粘膜骨膜弁で硬口蓋を閉鎖する一期的鎖を行う施設もあります。

・Furlow法
軟口蓋の口腔側と鼻腔側に互いに相対するＺ形成を用いて軟口蓋を延長するとともに、披裂をはさんで一側は口腔側に、他側は鼻腔側粘膜弁に口蓋帆挙筋を付着させ、それらを重ね合わせることにより筋肉輪を形成することを特徴とします。裂幅の広い症例では1歳時にFurlow法を用いて軟口蓋閉鎖を施し、半年後に硬口蓋閉鎖する方法(早期二期法)を行う施設もあります。


口唇・口蓋裂に限らず、歯並びについて気になることがある方は、ぜひ一度ご相談にお越しください。
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